柊あおい

猫の恩返し、耳をすませばの原作者柊あおいさんとは、少女マンガの月刊誌リボンの大ヒット作品、「星の瞳のシルエット」の作者さんでした。リボンと言えばおとめチック。少女の世界です。そのリボンでこの作品は、リボンの発行部数を押し上げるほど 1980年代絶大な人気を誇っていました。そして。現在も、この作品、続編が何度も書かれ愛され続けています。長いこと愛されるすごい作品を書いた人だとわかります。その柊あおいさんについて、考察していきたいと思います。

柊あおいさんと耳をすませばの雫

雫 たからもの

柊あおいさんは中学生のころから漫画家になる夢を持ってたそうです。投稿し続けていたそうですが、デビューの機会に恵まれず、就職して、OLをしながら、書き続け、やっとデビューしたそうです。それから、2作目が大ヒットした星の瞳のシルエット。乙女のバイブルと呼ばれた作品です。(最近は乙女チックとか使いませんね。)中学生カップルの恋模様。ヒロインの行動一つ一つに胸がキュンキュンするような、お話でした。毎号楽しみにされていた方も多いはずでは。そのすぐ後の作品が、ジブリが映画化することになった耳をすませばという作品です。こちらは残念ながらあまり受けず、4回で打ち切りになったそうです。でもそこがよくて、映画化されたそうですが・・・(まとまっていてよいとのこと。)

耳をすませばの月島雫、映画の中では、当初は、受験まっただ中の中3でありながら(原作とは設定が違う)読書三昧の日々をすごす少女でした。ときおり詩を書いたりもしますが、将来について明確な目標があったわけではありません。それが、バイオリン職人と言う夢にまっすぐに突き進む天沢聖司という少年に遇ったことにより変わっていくのです。自分を試すということで、雫の物語制作がはじまります。自分の中にその夢を追い続ける力があるかそれを必至で雫は模索しながら、作品を作ります。自分の才能をさがす雫。想像ですがその葛藤が柊あおいさんの中にもあったのではと思います。

原作と映画との違い

原作と映画(耳をすませば)では、基本的なラインは一緒ですが、流れるテーマの比重がかなり違うように感じます。胸キュンの告白シーン。これもありますが・・どちらかというと雫と聖司の恋愛がベースになっていてそのような自分探しはまだ今からかなと言う感じ。年齢設定自体も中1とまだまだ。将来についてもまだまだ今からと言う感じです。それを、映画で中3に持ってきたのは、やはり、人生で一番最初に選択することになる高校進学を契機にすることにより、登場人物たちにより臨場感をもたせて、物語を動かしたのでしょう。

原作では、映画の葛藤する雫ではないのですが、物語を作りたい、自分を表現してみたいというシーンがあり、とても印象的です。その後の雫の進路を暗示させるシーンでもあります。恋愛と将来を絡み合いながら、紡ぎだしていく物語ではと思わせられ、打ち切りとなったのがとても残念です。もっと長く、読んでみたい作品だと思いました。、だけど余韻と言うか、読者にその後をいろいろ想像させるものは残してくれています。

耳をすませばの続編の猫の恩返し、こちらも原作と映画では微妙にテーマの比重は違います。でも、きっと作品のもつ力に、読む人、受け継ぐ人の感性をより動かすものがあるからではと思われます。もちろん、製作途中に原作者の考えや、反対に続編の猫の恩返しはジブリからのリクエストだったからだったので、相互の交流はいろいろあったとは思いますが・・・

これからの柊あおいさん

ひところに比べるとリボンの発行部数は、かなり減ってしまったそうです。それでも、昨年60周年企画で星の瞳のシルエットが掲載されるとコアなファンがリボン購入に走ったのではと思われます。また別の作家さんですが、ポーの一族の続編が掲載されると、売り切れ続出、こちらもうん十年前のコアなファンが購入に走ったのではと思われます。

少女は成長して、女性にそして母にと変わっていきます。書いている作家さんにもそれは訪れているのでしょう。でも、世の女性すべてだけど、心の中のリポンをかけた少女の感性はどこかしまっているのだと思います。柊あおいさんにも、人生経験を経て深みを出しながらもその感性を思い起こさせる作品を作り続けていってもらえたらと思います。胸キュンの告白シーン、ダイナミックな作品の多いジブリに登場させたのは柊あおいさん、世の女性たちの感性の力でしょう。

 

リボンの女の子