風立ちぬでのとても印象的なヒロイン「菜穂子」についてまとめてみました。

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「風立ちぬ」のヒロイン奈穂子はどのような女性なのか?

宮崎駿監督の最後となった長編「風立ちぬ」。

それは宮崎駿監督が描いた最後のヒロインでもあります。そんな最後のヒロイン「奈穂子」とは本作においてどのような存在であったのか、自分なりに紐解いてみました。

幼い日の菜穂子

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奈穂子は、おそらく10代前半の女学生として初めて本作に登場します。

二郎とは同じ電車に乗り合わせているのですが、二郎より階級が上の車両に乗っていることや、服装、お手伝いさんと一緒に行動している所から裕福な家庭環境が伺えます。

 

電車のデッキで、風に飛ばされた二郎の帽子を電車から身を乗り出して受け止めた後、「Le vent se lève(風立ちぬ)」と告げる場面や、お手伝いさんとのやりとりから知的でありながら活発で天真爛漫な性格が表れていると思います。

電車での二郎との出会いから、奈穂子は二郎に惹かれ、そしてまたいつか2人を結ぶ風が吹くことを密かに想いながら過ごしてきたのでは、と私は想像しました。

大人になった菜穂子、そして二郎との出会い

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大人の女性となって奈穂子が再び表れるのは、父親と2人で結核の療養のためにやってきた軽井沢。

 

そこでまた2人に風が吹きます。

 

泉で2人が再会すると、蓋を開けたように2人の仲は急速に深まっていきます。

そんな2人にブレーキをかけるように「結核」という存在が2人の心と、そして本作品に影を落とし始めます。

特に奈穂子がキャンバスに吐血したシーンはまさにこの映画のトーンを変える起点だったのではないでしょうか?

 

この作品において奈穂子は「風立ちぬ」の映画の流れを変える存在であったと言えます。

声優「滝本美織」と奈穂子について

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スタジオジブリの新作情報がリリースされるとよく話題に上がるのが芸能人の声優。

私は必ずしも芸能人や俳優を声優に起用することに反対ではないのですが、声はそのキャラクターに感情移入できるかどうかを左右する大きな要因。

上手くマッチすれば声の主が芸能人であることも忘れ、そのキャラクターに入り込めるのですが、声の主がキャラクターの様相を塗り替えてしまうことも芸能人を起用することで多々あったと思います。

 

今回、奈穂子の声優を務めたのは女優の「滝本美織」さん。

私は瀧本美織さんのことをあまり知らなかったので、先入観無しに奈穂子の声として聞いていました。声自体はとても透明感のある美しい声だと思いました。奈穂子という人物像にもマッチしていたと思います。

印象としては・・・

でも個人的にはそこまで印象として強く残りませんでした。

というのも私は二郎の声を務めた庵野氏の声があまりに「はまり役」と感じていたため、奈穂子の存在が二郎に比べ影を潜めてしまったのではないかと思います。

 

そういう意味で考えると、庵野氏の声の特徴を助長させるような役割を果たしていたのかもしれません。(これはおそらく人によって良い意味にも悪い意味での助長になるのだと思います)。

奈穂子役はどうしても瀧本美織でなければ、とはまで思わなかったですが、だからといって別に違和感を抱くこともなかったです。

菜穂子の「年齢」、そして菜穂子にとって「結婚」とはどういうものだったのか?

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本作品では具体的なプロフィールについて説明は出て来ないので画面上からの推測となるのですが、二郎と初めて会った奈穂子は外見からみて12、3くらいではないかと思います。

その時出会った二郎は大学生だったので、2人の年齢差は8〜10歳くらい。

電車での2人のシーンは少女と青年という、お互いにとって恋愛の対象としてはちょっと捉えずらい年齢差があったと思います。

初めての出会いから、奈穂子にとって二郎は「ヒーロー」として強く印象づけられ、それがいつしか恋心へと発展していったのではないでしょうか。
2人が軽井沢で再会した時、奈穂子は魅力的な大人の女性へと成長を遂げているのですが、初めての出会いからどれくらいの時間が流れたかも詳しくは触れられていません。

二郎が学校を卒業し、航空機技師として務め、すでに一人前の技師としてプロジェクトを任されてことや、時代背景からみて9、10年後くらいでは思われます。

 

それを先に述べた推測に当てはめると奈穂子が22,23歳で二郎が30,31歳くらい。

再開した2人には最初に出会ったときのような年齢差は感じられず、加速的に惹かれ合い、そして二郎の突然のプロポーズを快諾。

2人の美しくも、悲しい運命

しかしそこに「結核」という病気が2人の仲を引き裂きます。

 

奈穂子は二郎を愛するがゆえ、そして一緒に人生を共にしたいため「結核」という病気に立ち向かおうと決意。

しかしその当時、治療が難しかった結核は奈穂子の体を次第に蝕んでいきます。

奈穂子は高原治療の最中、二郎との手紙を重ね、一瞬でも良いから二郎との結婚生活を送ることを選びます。

 

無理を押して2人はまた再会。結婚式は二郎の先輩である黒川家。

2人のシンプルな結婚式は、おそらく多くの人が引き込まれたのではないでしょうか?

菜穂子の美しさ

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私も素直に花嫁姿の奈穂子を見て素直に美しいと思いました。

そこには外見だけでなく、奈穂子の内に秘めたる強い決意が感じられたからだと思います。

2人の幸せな結婚生活はかなり短いものとなりましたが、二郎のセリフにあったように「一日一日を大切に生きている姿」が良く写しだされていました。

 

そして奈穂子は幸せな日々に溢れた黒川家を後にします。

家を出る時、置き手紙だけを残しキレイに部屋を掃除した場面や、1人コートを纏って街を歩く場面からも奈穂子の結婚に対する決意がどれだけのものであったのかを強く物語っていたと思います。

 

菜穂子にとって二郎との結婚は、たとえ咲ける時間は短くても、その一瞬に全てを掛けてもいいと思えたほど尊いものであったことが伺えます。

スタジオジブリ歴代のヒロイン達と比べての奈穂子はかわいいか?

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宮崎駿監督の作品において、ヒロインというのはとても特別な存在だと思います。

 

ナウシカ、シータ、クラリスなど、アニメのキャタクターという枠を通り越してしまうほどの永遠的なヒロインをこれまでに生み出してきました。

先述したように、私はナウシカなど特に宮崎駿監督の初期のヒロイン達に今でも強く惹かれ続けています。

 

本作品「風立ちぬ」の奈穂子は、これまでの宮崎駿監督が描いて来たヒロインとは少し違うように感じました。

過去のヒロインとの違いとは?

実際の人物をベースにしているということもあるかもしれませんが、今作品でいうと二郎の方が宮崎駿監督の「ヒロイン」像を引き継いでいたのではないかと思います。

外見も内面も美しいとは思いますが、強く印象に残るわけでもなく、かといって印象が薄いわけでもなく、ジブリの中ではめずらしいヒロインだったと思います。

 

でも二郎がお見舞いに駆けつけるシーンや結婚式、そして二郎との結婚生活の場面で、折りに触れて菜穂子のしぐさにドキッとする場面がありました。

天真爛漫でハキハキとした性格でありながら、とても澄んだ目をした静謐さを漂わせる菜穂子の存在は、ものすごく強いインパクトを残すものではないけれど、まさに風のように気がつけばそこにいるような、親密さを感じさせるヒロインであったと思います。

奈穂子の印象的なセリフ

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奈穂子のセリフの中で個人的に好きだったは、奈穂子の結核が悪化したという知らせを聞き、二郎が里見家に駆けつけ、キスをした後で「うつります」と言った場面。

本作品、ジブリではこれまでに描かれなかったいわゆる男女のシーンが登場することで話題になりましたが、私が好きだったこのセリフ、キスをする前に言うのではなく、キスをした後で奈穂子が言う所がとても良かったと思います。

 

病気が移ってしまうというためらいと、二郎に深く惹かれてしょうがいないという気持ちが葛藤していることが、画面から良く伝わってきました。

そのセリフを告げるときの奈穂子の表情も良かったです。

 

黒川家の結婚式も私はとても好きだったのですが、庭から駆け込んで2人が抱き合うシーンの方が強く印象に残りました。

その場面の中、セリフではないですがベッドの上で抱き合いながら奈穂子が二郎の髪に触れるシーンが2、3秒くらい写し出されていたけど、そこも個人的にぐっと惹かれるカットでした。

奈穂子にまつわる謎。「奈穂子は結核によって死んでしまったのか?」

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本作品は原作に基づきながらもファンタジーを思わせるように描かれていた思います。

キャラクターのプロフィールも詳しく描かれていないし、またカプローニが二郎の夢の中に表れるかと思えば、関東大震災、戦時中の具体的な日常が描かれていたりと、リアルとファンタジーが折り混ざっています。

 

奈穂子のことについてもはっきりと死んだことを伝えるのではなく、テスト飛行中に感じた二郎の虫のしらせを思わせる空白や、カプローニと二郎との最後のシーンを通して、見ている人に奈穂子は「死んでしまった」のではなく、風になって消えてしまったと思わせるように描かれていたと思います。

これはおそらく見る人に想像の余韻を持たせるためかな、と思いました。

最後のシーンについて

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戦争が終わり、二郎とカプローニが戦争で消えてしまった飛行機を見送る夢の中、草原の中を二郎に向かってくる奈穂子の姿が登場します。

 

それは二郎の夢の中に初めて現れた奈穂子でもあります。

 

ラストシーンにはいろいろな解釈が出来ると思うのですが、あの草原を歩く奈穂子は二郎と奈穂子を結びつけた風だったのでは、と私は思いました。

2人は風に導かれて出会い、そして風によって結ばれました。

その時の風が奈穂子という像になり二郎の夢に現れてきたのかな、と思いました。

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印象的な二郎の「ありがとう」

2人の間に立った風が、またどこかへと吹かれていく。

その風に向けて言った二郎の

「ありがとう」

というセリフには、初めて感情をむき出しにした二郎が描かれていました。

 

とても良いラストシーンだっと思います。