風の谷のナウシカには2つのストーリーがある 映画と原作がある。2つは別物?

 

風の谷のナウシカといえばやはり。映画版ナウシカのほうが一般の人になじみ深いのでは。アニメ好きでもマンガ好きでもない学生時代の友人が、ナウシカを見て、“マンガを見てはじめて泣いた”と語っていたのをよく覚えています。再放映の度に、必ずみているとか。そんなナウシカにも原作があります。

これをもし、彼が読んだとして泣くかどうか?は少し毛色がちがっているのではとも思います。アニメージュというアニメ専門の雑誌に、この作品は掲載されていました。もちろん、宮崎駿氏オリジナル。個人的な感想としては日本語漫画版指輪物語といえるぐらいのスケールの大きな物語になっているのはと思います。アニメではできないものを作りたいというコンセプトではじめられたこの作品1p当たりのコマ数もとても多く、なんて丁寧に書かれているのだろうと感動したものです。(絵柄ではなく内容的に)筋金入りのマンガ好きの私でもこの作品を通読するには覚悟と時間が必要でした。一部勘違いもあるかも。すみません。

原作漫画の風の谷のナウシカは 機械文明が崩壊した後の遠い未来の世界を、風の谷だけではなく、人類全体に壮大に広げて描かれたストーリーになっています。

映画版はストーリー的には漫画版の2巻までを切り取ってまとめたストーリー。原作では度々登場するドルクの存在も語られていません。それではまず映画版のあらすじを追ってみたいと思います。

映画版風の谷のナウシカあらすじ

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機械産業文明が衰退した未来、人間にとって有害な瘴気を発する大型の菌糸植物が自生する森、腐海が大地を覆い尽くす世界。

生き残ったわずかばかりの人間の生きる世界です。辺境の小国。風の谷の族長の娘ナウシカは、いままで自分たちを苦しめてきた腐海の役割を知ります。

海からの風によって守られていた風の谷にある日、旧世界の遺物で最終兵器である巨神兵を運んでいたペジテの船が不時着。そこから、平和に暮らしていた風の谷が一変します。

巨神兵をめぐり、風の谷が戦争の場になろうとしていました。トルメキアに滅ぼされたペジテは、腐海の番人であるオームを利用して風の谷のトルメキア軍をつぶそうとします。それに気付いたナウシカは、オームの大群に飛び込み、その怒りを鎮め、風の谷を救います。

オームと戦おうと急激に成長させた巨神兵の再生に失敗し、失ったトルメキア軍クシャナ王女たちは撤退。風の谷に平和が訪れます。

原作漫画では?

それでは、とてもざっと映画版のあらすじを紹介したところで、原作の漫画版ナウシカのあらすじをもう少し詳しく追っていきたいと思います。

2つの物語のイメージの差は、描かれたナウシカからも、出ていると思います。原作では火や土のイメージでとても強くたくましいナウシカ。アニメでは森の中を自由に飛び回る風のようなナウシカ。原作では風の谷での出来事の後のナウシカが3分の2を占めていますので、その後のナウシカといってもいいところでしょうか・・・??

しかし、アニメではナウシカは風の谷にとどまっているように思われますので、そこもちがうところですね。それでは、原作のナウシカのあらすじを追っていきたいと思います。

漫画風の谷のナウシカあらすじと自己流解説

ナウシカの住む世界 対立するトルメキアとトルク諸侯国

巨大産業文明が滅び、巨神兵が大地を焼き尽くした火の7日間から1000年がたった未来。腐海は拡大をつづけ、人の住める国土が一握りになっていました。その中で、トルメキア王国とトルク諸侯国が南北に2大勢力を誇り、ナウシカの風の谷は辺境の小国としてトルメキアと盟約を結んでいました。

ある日、同じく辺境の工房都市ペジテからの飛行船が不時着しました。ナウシカは、その時に王族の娘ラステル助けみとることに。その時に兄に渡してくれと秘石を預かります。旧世界の巨神兵のカギとなる秘石を手に入れようとトルメキア軍クシャナ王女がペジテを襲ったのです。そのペジテからの飛行船を追ってトルメキア兵は風の谷にやってきます。

盟約によりトルメキアについたナウシカ、クシャナの軍に同行するうちに、ぺジテ軍の襲来にあいます。城オジとクシャナを助けたナウシカですが、腐海の中の言葉に呼ばれ、奥にそこにはペジテの王子アスベルが。ナウシカは結局オームのふしぎな力に守られ、アスベルはナウシカの意思により助けられて腐海の底に、そこには木々が、汚染された土壌を取り組み、無害な物質になって降り積もった世界が広がっていました。

アスベルに秘石は返して、二人で腐海をメーヴェで飛び立ちます。途中、ドルクの飛行船にとらわれ、オームの子をおとりにオームの大群を操り、トルメキア兵をせん滅させようとしていることを知ります。ナウシカはトルメキア兵のいる風の谷に知らせに脱出します。

ナウシカは、傷つけられ飛行ガメにつるされた子供のオームを救い出し、オームの大群の前に降ろし怒りを鎮めます。傷つけられたオームの体液を浴び青く染まった服を着て、無数のオームの金色の触手の中に立つナウシカは人々を導く伝説の使徒のようだとドルクの僧正は語ります。その時に、ナウシカはオームたちの南の森に行こう。あなたちは北へ帰りなさいという言葉を聞いたのでした。

大海嘯

大海嘯というキーワードが出てきます。伝説では、数百年ごとに、オームが大群になって大地に押し寄せ死に、腐海の菌糸の苗床になって爆発的に、腐海の面積を増やす現象です。今まさに、ドルクの地である南に大海嘯が起ころうとしていることが予感されます。

ナウシカは南へ旅を続けます。そこで、人々の心を操ることのできる子供チククに出会います。ドルクの皇帝たちは旧世界の生命を操る知識を使い、大海嘯を止め戦争に勝とうと生物兵器を開発していました。その瘴気で蟲たちの命も奪う強力な粘菌をつくりますが、その使用に失敗、その粘菌を浄化しようと蟲達が集い死にさらに腐海を広げます。大海嘯の始まりとなってしまうのです。

セルムとナウシカ

死んでいくオームの大群の中でまた命を救われたナウシカは、漿に包まれ意識のない状態に。そして、森の人といわれるセルムに出会います。彼はナウシカを、腐海の役割や人類の役割を語り、一緒に彼らの世界に生きていかないかと誘います。しかし、ナウシカは破滅に向かっていく今の世界で生きていくと断ります。

旧世界の遺跡 聖都シュワ 墓所

ドルクの皇帝もトルメキアの王も。旧世界の遺物、聖都シュワに残された技術を手にし、不老不死になり、世界を支配しようとしていました。旧世界の人類は、シュワに自分たちの汚したこの星を浄化した後の種を残していたのです。ナウシカたち人造人間たちがその欲により、滅びの道をさらに進めていくのも計算のうちだったかもしれないです。

巨神兵、ナウシカの子オーマ

ドルクがペジテから奪い運んでいた巨神兵の胎児をナウシカは、秘石の力で操ります。生まれたばかりの巨神兵はナウシカにオーマと名付けられます。その死を願いながらも、無垢なオーマに心を奪われます。ナウシカはオーマともに聖都シュワに赴き、旧世界の扉、その禁断の技術を破壊します。不老不死を願いその技術を手に入れようとしていたトルメキアの皇帝もこの時に息絶えクシャナ王女に王位を託します。

伝説の使徒、人々の未来

ナウシカは、自分たちが人造人間であって、清浄の地に生きることが出来ないことを知っています。だけど、そのことを隠し人々にいつか汚染のない世界に生きることが出来るようになると語ります。汚染に合わせて作り替えられた自分たちの体でも何度も何度も生まれかわるうちにその地に合わせて生きることのできる生命になることを確信して。生命の強さをしっているからです・

ラストはどうなるか?

最後に、すべてが終わっても、ナウシカは風の谷には帰りません。ドルクの地にとどまり,チククの成人までいたとか、または森の人のところに行ったとも。アスベルの隣にはドルクの娘が・・ちょっとさびしそうなところも。自分たちの存在の意味を知りながら、清浄な世界が訪れた時には、未来がないかもしれない・・それでも不毛の環境にも負けず生きていこうとして終わっていると思います。

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ラストを知った時の感想、あらためて考える映画との違い

腐海が旧世界の人間が汚した大地をもとのように戻すための装置だったこと、それを守り自分の骸を苗床にしてさらに腐海を広げていたオームたち。蟲たちもそれに加えて。この世界を生きる人類も旧世界の人間が、自分たちが清浄な土地を取り戻した時に自分たちを起こす役割を持たすために作った人造人間であること。生命を人間の手で作り上げ利用しようとするドルク皇帝といい、人間の知恵の浅はかさ、現在の生命の神秘を手にしようとする人間への警鐘ともとれる場面がかなり出てきます。一見ハッピーエンドで終わったかのような映画版との大きな違いとなっているところでしょうか。

しかし、神になろうとした人間も思い通りになりません。ドルクの皇帝も自分たちが支配しようとした巨神兵に破壊されてしまいます。そして、神になろうとした旧世界の人間たちも、ナウシカたち人造人間によってその卵を破壊されるのです。

この作品は神になろうとおごり高ぶった人間、自然とともに行き、共生していけるように原点に帰れとそして運命を受け入れながらもしぶとく生き残れと言っているのではないかと思います。この点は映画版でも同じメッセージを私は感じます。より、スケールのでかいのが原作です。アニメではできないものを作りたいと作成された、風の谷のナウシカ。指輪物語も映像化は無理と言われながら、実写で行われました。続きを映像化してほしい気もします。でも引退されたし。無理か?